AI教育の現状分析 台湾における人材不足と制度課題

コンピューテックスの次の年、台湾で話題になったことの一つに、エヌビディアの黄仁勳氏がAIへの補助金について言及した場面がある。政府に「学校はみんなAIを教育課程に取り入れるべきだ」と強調していたようだ。実際、その少し前にも、「もし自分が今学生ならChatGPTやGemini Pro、それからGrokみたいなツールをすぐ使い始めるだろう」とも語っていたという。これらの発言がどれほど響いたかは分からないけれど、駅を出発するAI特急――そんな比喩がぴったり来る、と彼自身も思っている様子だった。

台湾と言えば半導体サプライチェーンでは有名だけど、最近はAIハブとしての地位も目指していると耳にする。AI関連職種の求人増加が著しいらしくて、今年初め頃だったか、104人力銀行という求人サイトで「AI」と検索すると二万件をゆうに超える募集情報が見つかったそう。ただ、この数字も正確なものじゃなくて、大まかな傾向として受け取った方が良さそう。その中でもChatGPTなど生成系AIを使いこなせるスキルを求める企業が多いとか。

経済部長官（たしかJ.W.さんだったと思う）がこの流れについて何かコメントしていた記憶もあるけれど、詳細まではちょっと曖昧だ。ともあれ、新卒者や若者たち全員がこの波に乗れているとは限らず、その点について黄氏は自社の労働力確保とも絡めて懸念している節もあったようだ。

最近、台湾ではAI人材の育成がかなり話題になっているようだ。確か大臣が、将来的に二十万を超えるくらいの専門家を育てるという方針を表明したとか、そんなニュースを見かけた気がする。一方で、AIカレッジ連盟みたいな団体もあって、三年で一万人くらい養成しようとしているらしい。ただ、その辺の数は正確じゃないかもしれない。高校でもAIに関する選択授業がぼちぼち始まっていて、田舎でもネット経由で学べる環境が広がりつつあるっぽい。

なんとなく思い出すと、新北市の高校生たちが半導体ラボに見学に行った写真もどこかで見た。けれども一方では、「AIによって事務系の新入社員の仕事が半分近く消えるんじゃないか」と不安視する声も出ていた気がする。失業率についても、一割とか二割とか増える可能性を指摘する人もいた。

でも現実問題、エンジニアだけじゃダメだという話にもなってきている。例えばマーケティング担当者とか、アイデア検証役、それからジャーナリストや看護師みたいな職種にもAI活用は避けられなくなるかもしれない。「全部の仕事にはAI要素が絡む時代になる」…そう語る専門家もちらほら目についた。

あと何となくだけど、リンクトインだったかな…次の十年弱ぐらいで「多くの職種で必要とされるスキルセットの七割以上は今とは別物になる」と予測したレポートを書いていたという話を耳にした覚えもある。その変化は主にAI技術によるものだと考えている人も少なくない様子。

教育現場でも色々対応策が試されているっぽい。教育部門では生成系AIを活用した学習パートナーや、小中学生向けにAI関連コンテストを開催している例などもちょっとずつ増えてきてる、と聞いたことがある。それぞれの取り組み効果についてはまだ様子見という印象だけど、多方面で模索している状況と言えるだろう。

なんだか最近、AIの使い方に関して各国が色々動いているみたい。台湾も、その流れにちゃんとついてきているようで、教師向けの研修やAIを学校教育に取り入れるためのガイドラインみたいなものを何度も更新して出しているらしい。リスク管理にも触れているそうだから、バッテリーをAI新幹線に積む準備、みたいなイメージで語られることもあるとか。ただ、詳細は曖昧だけど、シンガポールではAIと倫理について学ぶ授業を必修化しているようだったり、韓国でも今年中には高校すべてでAI関連の授業が始まる予定だと聞いた。しかも教師も数千人規模で再研修する計画まであるんだとか。フィンランドでは創造力や透明性、市民としての意識を高める手段としてAI活用が重視されてるっぽい。

ただし、この動きは単純にAI分野の専門家だけ育てればいいって話じゃないみたい。実際問題、それより幅広い人たち――翻訳者やコピーライターとか、メディア関係のデザイナーなんか――こういう職種では既に変化が始まってしまってるという印象を受ける。「もう電車は発車した」と感じている人も少なくない。社会全体が新しいスキルセットを身につけなきゃいけない時期なのかもしれないけど、そのタイミングについては、人によって捉え方が違う気もする。

時計の針は進んでいくし…あまりゆっくりしていられない空気だけど、具体的な影響範囲や速度については予想しづらいところも多い。

生成AIが活躍するようになってから、昔の蒸気機関車みたいに、ある職業や役割が一歩後ろに下がった感じもある。特に最近は、新人や若手向けの仕事についても、変化が起きているとも聞く。たとえば、世界中の企業幹部を対象としたリンクトインの調査によると、「半数以上」の経営者がAIによって繰り返し作業など簡単なタスクはスタッフからAI側へ移行すると考えているらしい。どこかで読んだIBMのレポートでも、大体六割ぐらいのCEOがAIエージェント導入を進めているみたいだった。

マイクロソフトの資料では、一年ちょっとくらい先までに「大多数」の企業がデジタルチームメンバーとしてAIを加える予定だという話もあった。ただ、台湾企業の場合だと、その数字はさらに高めで、この一年は戦略見直しにかなり重要だと思っている経営層も多いそう。でも実際には、PwC調査によれば、本格的なAI活用事例を持つ会社は一割にも満たない…けれど、大部分の会社で何かしら試してみたり検討したりしている様子。

それでも、こういう話題になると、「まあこれらの報告書自体にも売り込みたい思惑あるよね」と警戒すべきという声も出る。アンソロピック（ClaudeというAIを作った会社）のCEOダリオ・アモデイ氏さえも、「混乱や変化には注意した方がいい」と警鐘を鳴らしていたとか…。全部確定じゃなくても、時代は静かに動いてるような気配だけは感じる。

「これから来ることについて、正直でいなければならない責任がある」と彼は言う。AIによって、事務の新入社員の仕事が半分近く消えてしまうかもしれないという話もあった気がする。失業率も、今より一割とか二割くらい増える可能性を指摘する声がちらほら。最近の卒業生たちには、あまり良いニュースではないかもしれない。

アメリカだと、若者の就職状況がここ一年ちょっとで三割ほど悪化したという報道も見かけたし、台湾でも二十代前半の人たちの失業率が国全体よりかなり高めになっていることが話題になっていた気がする。数倍近く違う、と言われていたような…。LinkedIn のラマンさんは、「キャリアを積み始める最初の段階」が崩れてきている、と表現していたことを思い出す。

AIという特急列車には座席数に限りがあるなんて例えも聞いた。でも昔ながらの蒸気機関車には空席ばかり、と皮肉交じりに語る人もいる。教育はどう変わるんだろう？　そんな疑問だけ残ってしまったような気もする。

AI技術、なんだか新幹線みたいなスピードで進んでる感じがするけど、三年後すらどうなるのか分からないって話もよく耳にする。まあ、最近の兆しを見ていると、巨大なIT企業のトップたちが注目しているスキルというものもいくつかあるようだ。例えばマイクロソフトのAI部門を率いているムスタファ・スレイマン氏だったかな、彼は柔軟に変化できることとか、自分自身で学び続ける力、それと協調性みたいな部分が重要だって語っていた気がする。それとピーター・ティール氏だったと思うけど、「数字に強い人」より「言葉を扱う人」のほうが今後機械による自動化から逃れやすいんじゃないか、といった意見もあったはず。理由はソフトスキルの方が今のところ自動化しづらいからだろうね。

ジェンスン・フアンさん（たしかNVIDIA関連で有名）も最近はAIツールそのものへの習熟度や、プロンプトを上手く使うコツについて言及していたような……ただ単純に質問投げても思った通りにはならないし、それなりの知識や感覚的センスが必要になる場面も多そう。そんな流れだから、生徒たちには中国語とか公民科目、それから数学・理科・英語だけじゃなくて、その知識を活かせる応用力――つまり転用可能な力とかAIリテラシーみたいなものまで求められてきているっぽい。

台湾では数年前（七～八年くらい前？）「108課綱」というカリキュラム改革みたいなのが始まって、その中でも創造性とかコミュニケーション能力、それと問題解決力や民主主義的価値観など――つまり二十一世紀型スキルと呼ばれる領域――こうした部分にも焦点を当て始めているらしい。この辺りはAI時代向けのプロジェクト型とか教科横断型学習とも重なる気もしなくはない。全部完璧に機能しているとは限らないけど、少しずつそちらへ向かって歩み寄っているようにも見えるかな。

学生たちがChatGPTを使って二言語プレゼンを作ったり、なんとなくデータ分析したり、討論のシミュレーションとかポッドキャスト制作までやってみる——そんな場面を想像する人もいるだろう。多分、黄氏がAIで「思考を加速させる」と言った時のイメージはそういうものだったかもしれない。でも現実には、そう簡単に進んでいない感じがある。それどころか、これから先もちょっと難しいんじゃないかなと思わされる。AI活用の取り組みやら研修やら補助金みたいな話はよく聞くけれど。

どうしてこうなるんだろう。ちょっと昔のまま止まったような空気が残っている。結局、試験制度が全てに大きな影響を与えているからという意見も目立つ。中学卒業辺りの試験（BCT）とか、高校卒業近くの統一テスト（GSAT）、このあたりが今でも中心になっていて、それが古い機関車の石炭みたいな役割になっているような印象だ。その機関車自体はもう産業時代から動かしてきたものなのに、火力はとっくに弱くなってきているとも感じられる。

2019年頃に出されたガイドラインを書いた人たち自身も、この問題点には気づいていたようだ。彼らとしては、「詰め込み」じゃなくて、人間らしい幅広い力とか柔軟性を重視した新しい学び方へ移行したかったという話だった気もするし、「ポートフォリオ」とか「学校ごとのカリキュラム」「単なる暗記以外も評価できる仕組み」など、色々考えていた模様。でも、それぞれの案が本当に日常になるまでには、まだ道半ばという印象も否めないかな。

そういえば、最近の大きな試験では、能力を問うような問題も少しずつ増えてきた気がする。でもね、教室っていう場所は昔からあまり変わらないまま。生徒たちは相変わらず覚えることに追われて、その場しのぎで詰め込んだ内容をまた出すだけ。先生たちも、保護者からの期待とか試験対策のプレッシャーが重くて、新しい方法――例えば実験っぽい授業やAIを本格的に取り入れる余裕なんて、ほとんど持ててないみたい。

あぁ、それでも授業準備にはAIを使う先生は増えているとも聞いた。でも実際に教室でAIを活用する場面は…数えるほどしか見当たらないかもしれない。台北市内の高校で英語を担当している陳（チン）先生も、「時間がいつも足りなくなるし、テスト前になると特に余裕がない」と言っていた気がする。続けて、「各学年ごとにAIリテラシーをどう身につけさせるべきなのか、その道筋がまだ曖昧です」と話していたかもしれない。

それも無理はなくて、多分生成系AIというもの自体、この七十年ぐらいで急に広まった感じだから…教育現場どころかIT業界ですら明確な指針はまだまとまっていない、と聞こえてくる。今後どうなるか、誰にも断言できる人はいなさそうだ。

もし仮にそうなったとしても、台湾の教育者の多くは大きな変化にはあまり前向きじゃないらしい。塾とか教材を出している会社も、今の受験制度でそれなりに利益があるから、進んで変えたいと思っているかはちょっと疑問だ。教育部も特別に積極的という印象は薄い気がする。鄭英耀教育部長が去年だったか「何となく改革しようということではない」みたいなことを言っていたけど、実際二〇一九年ごろの指導要領では改革について触れられていた記憶がある。ただ、その辺り言葉だけなら簡単だし、本当の意味で方向転換するには、それなりの勇気や展望、それから具体的な行動力も必要になってくる。でも今までを見ると、どうも教育部は古いシステムを手放す覚悟や、新しいAI時代にふさわしい仕組みづくりへの本格的な取り組みまでは出来ていないようにも感じられる。

評価方法を見直さない限り、大きな違いは生まれない…たぶんそんな声もちらほら聞こえてきそうだ。どんな新しいカリキュラムが提案されたところで、「BCT」とか「GSAT」と呼ばれるテストが現状通り重視され続ける限り、学校現場の教え方自体に劇的な変化は起こりにくいという意見も根強いようだ。

まあ…いいニュースといえば、

もう新しいものをゼロから作り直す必要はなさそうだ。四、五年前に作られたあのガイドライン、どこかで見たことがある人も多いかもしれないけど、実際それなりに土台になっている部分がある。ただし、AIのことをちゃんと考えた形で手直しするのは大事みたい。

最近だと、プロジェクト活動とか学生自身が集めるポートフォリオ、それぞれに合った学び方やグループワーク――こうしたものを少しずつ重視する流れが出てきている気がする。でも、それら全部「倫理」とか「今っぽいスキル」みたいなものと結びついているのかは、正直ちょっと曖昧なところも残っている。

一方で、大きなテスト一本で評価するやり方――これについては見直したほうがいいんじゃないかという声が増えてきている。今まで何十年も使われてきた試験制度だけど、この先もしばらく同じままだと、どうなるんだろう。

AIを日々の学習パートナーとして自然に使いこなせるようになれば、将来AI技術が関わる職場でも役立つ力を身につけやすくなると言われている。でも現状では、その段階に到達していない学校も少なくない印象だ。

台湾の教育現場は相変わらず古い機械車両みたいに駅に止まったままで、一方産業界のAIという高速列車はどんどん遠ざかってしまう…そんな例え話も耳にすることがある。もちろん全員が取り残されるわけではないし、中には柔軟について行く学生もいると思うけど、多くの場合、その差は広がってしまいやすい気配もある。