まず結論から言うと…
「どのPR会社がいいですか?」ってよく聞かれるんだけど、正直、これって「どの服が似合いますか?」って聞くのと同じくらい難しい質問なんだよね。有名なPR会社だから、大手だから安心、っていうのは半分正解で半分間違い。大事なのは、その会社が自分たちのブランドと「相性が良いか」どうか。これに尽きる。パートナー探しに近い感覚かな。
だから、会社の知名度や規模だけで選ぶと、だいたい失敗する。そうじゃなくて、自分たちの目的をしっかり理解してくれて、二人三脚で走ってくれる相手を見つけるのがゴール。今日のメモは、そのための具体的なポイントを整理していく感じ。
依頼前に確認すべき3つのポイント
じゃあ、具体的に何を見ればいいのか。色々な切り口があるけど、最低限この3つは絶対に外せないなって思うポイントを書き出しておく。
1. 実績の「質」を見極める
実績リストは誰でも見せる。でも、見るべきは「どの雑誌に載ったか」だけじゃない。「どう載ったか」が重要。ブランドのストーリーが伝わる特集記事なのか、それとも単なる商品紹介の1カットなのか。全然意味が違うよね。あと、その掲載が売上とか、ウェブサイトへのアクセスにどう繋がったのか、具体的な成果まで突っ込んで聞いてみるのが大事。ただ「露出しました」で終わる報告は、正直あまり意味がないかも。
2. 事業ゴールとの連携はできそうか
「とにかく雑誌に出て有名になりたい」っていう段階ならそれでもいいけど、多くのブランドは「売上を上げたい」「新しい客層にリーチしたい」みたいな具体的な事業目標があるはず。PR活動がそのゴールにどう貢献するのか、ロジックを説明してくれる会社じゃないとダメ。最近のグローバルなトレンドだと、PR施策がどれだけデータで成果を測れるかが重視されてる。 メディア掲載数だけをKPIにするのは、もう古いやり方かもしれないね。 その活動がECサイトの売上やブランドの指名検索数に繋がったか、そこまで見てくれる視点があるかは確認したい。
3. 担当者との相性と熱量
結局、仕事をするのは会社じゃなくて「人」。契約前の打ち合わせで、実際にメインで動いてくれる担当者と必ず話すべき。 営業担当の人がすごく良くても、現場の担当者と話が合わないケースは本当によくあるから。 こっちのブランドの事をどれだけ好きになってくれそうか、熱量を持ってくれるか。ファッションが好きで、ブランドの価値を自分の言葉で語れる人じゃないと、メディアの人にもその熱は伝わらないと思うんだよね。
じゃあ、良い「成功事例」ってどんなの?
PR会社から見せられる「成功事例」も、見方を知らないと騙される(というと大げさだけど)。例えば、こんな感じ。
- よくない例:「有名雑誌Aに掲載されました!大手セレクトショップBでの取り扱いも決定!」
→ うーん、それはすごいけど、PR会社が具体的に「何をした」結果なのかが全く見えない。元々ブランド力があっただけかもしれないし。 - 良い例:「『サステナビリティ』というブランドの軸を伝えるため、環境問題に関心が高いインフルエンサーCさんにアプローチ。単なる商品紹介ではなく、工場での生産背景を取材してもらい、彼女の言葉で語ってもらう記事コンテンツを作成。結果、この記事経由でECサイトのアクセスが通常の3倍になり、特にストーリーに共感した20代後半の新規顧客層が50%増加しました」
→ 目的(何を伝えたかったか)、施策(具体的に何をしたか)、結果(どうなったか)が全部繋がってる。これなら、再現性も期待できるし、ちゃんと戦略を立てて動いてくれたんだなって信頼できる。
【比較表】大手とブティック系、どっちがいいの?
これもよくある悩み。会社の規模によって得意なことが全然違うから、どっちが良いとかじゃなくて、自分たちの今の状況に合わせて選ぶのが正解。 ちょっと雑にまとめてみる。
| 大手PR会社 | ブティック(専門)PR会社 | |
|---|---|---|
| 得意なこと | テレビとか大手雑誌との強いパイプ。大規模な発表会とか、体力勝負のイベント。とにかく広く浅く、一気に認知を広げたい時。 | 特定のジャンル(例:モード系、ストリート系など)への深い理解と、その分野のメディアやスタイリストとの濃い関係。ブランドのコアなファンを作りたい時。 |
| 注意点 | 担当者がコロコロ変わったり、ひとつのブランドに割いてくれる時間が少なかったりするかも。有名ブランドの仕事に埋もれがち。 | 人手が少ないから、幅広いメディアに一斉にアプローチするのは苦手な場合も。リソースは契約前に要確認。あと、得意分野以外は意外と弱かったり。 |
| 費用感 | 高め。レベニューシェアとか、複雑な契約形態のことも。基本的には月額リテナー契約が多いかな。 | 比較的柔軟。プロジェクト単位(スポット)での依頼も受けてくれやすい。 でも、本当に人気のところは安くない。 |
| どんなブランド向け? | ある程度知名度があって、さらにマスメディアでドーンと行きたい体力のあるブランド。海外ブランドの日本上陸とか。 | これから世界観をじっくり作っていきたいD2Cブランドとか、ニッチな分野で熱狂的なファンを掴みたいブランド。 |
これだけは注意!PR会社との付き合い方でよくある失敗
どんなに良い会社を選んでも、こっちの姿勢が悪いと上手くいかない。これもいくつかメモしておく。
- 丸投げしちゃう:「プロにお願いしたから、あとはお任せで」は絶対ダメ。PRはあくまでブランド側と二人三脚でやるもの。こっちから情報提供したり、面白いネタを共有したりしないと、PR会社も動きようがない。
- 過度な期待をする:「契約したら、すぐVogueの表紙に載る」みたいな魔法は期待しないこと。PRは地道な活動の積み重ね。すぐに結果が出ないことも多い。特に、ブランドの信頼性を高めるような活動は時間がかかるもの。
- 何でも「NO」と言う:PR会社からの「こんな企画どうですか?」という提案に対して、「うちのブランドイメージと違う」とすぐに断ってしまうのも良くない。もちろん軸は大事だけど、たまにはプロの視点を信じて、新しいチャレンジをしてみるのも必要。
まとめの前に、ちょっと雑談:海外と日本の違い
最近、海外のPRトレンドの記事とかをよく読むんだけど、やっぱり日本とは少し違うなと感じる。 海外、特にアメリカなんかは、さっきも書いたけどとにかく「データ重視」。 インフルエンサー施策も、投稿から何件クリックされて、いくら売れたか(ROI)をめちゃくちゃ細かく追う。AIを使って最適な投稿時間を分析したりとか、かなりサイエンスの世界。
一方で、日本のファッションPRは、もちろんデータも見るけど、まだ「文脈」とか「空気感」みたいなウェットな部分もすごく大事にされている気がする。 どのスタイリストさんがキーパーソンで、どの雑誌の編集長と良い関係を築けているか、とか。ショールームでの地道な貸し出しとか、そういうアナログな関係構築もまだまだ現役。 どっちが良いとかじゃなく、この違いを理解した上で、自分たちのブランドが今どっちの戦略を取るべきか考えるのが大事なんだろうな、と。
