AIで5分以内にできるスタートアップアイデアの実現可能性チェック方法と注意点

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5分で「このアイデア、やる価値ある?」をだいたい見極める

起業アイデアって、思いついた瞬間が一番キラキラしてて、そのあと検索してるうちにだんだん不安になってくるやつじゃないですか。

しかも、どこ見ても「スタートアップの9割は失敗」「4割はそもそもニーズがなかった」みたいな話が出てくる。

だから最近よく聞かれるのが、「ちゃんとした調査までは無理だけど、とりあえず5分くらいで、このアイデアが完全にズレてないかだけでも確認できない?」っていうやつ。

で、そのときにけっこう便利だなと思ったのが、AIにざっくり一次審査をさせるやり方です。

完璧な事業計画じゃなくて、「今からこのアイデアに数ヶ月かけるのは、さすがに危険かどうか」を見るだけ。

そういう「雑だけど致命傷は避けるチェック」に、AIがちょうどいいんですよね。

やみくもに作るか、ちょっと立ち止まって確かめるかで、机の景色がだいぶ変わる。
やみくもに作るか、ちょっと立ち止まって確かめるかで、机の景色がだいぶ変わる。

まず「何を5分で見たいのか」を決めちゃう

5分でできることって、正直そんなに多くないです。

だから、先に絞った方が楽で。

ざっくり一次チェックで見たいのって、このあたりかなと:

・そもそも検索されてるか(=誰かは興味ありそうか)
・すでに似たプレイヤーがどのくらいいるか
・お金になりそうな匂いがあるか(完全ボランティアじゃないか)
・ニッチをずらせばワンチャンあるか

この4つが「全部ダメ」なら、台北のカフェでノート広げて考え込む前に、一旦クールダウンした方がいいやつ。

逆に、「全部そこそこいけそう」なら、ちゃんと時間かけるフェーズに進めてもいい。

本気で作り込む前に、「誰がいつお金を払うのか」がぼんやりでも見えないアイデアは、たいてい後から地獄を見る。

AIに「名前」を考えさせると、意外と市場の輪郭が見える

いきなりなんだけど、サービス名をAIに考えさせるの、単なるネタじゃなくて、けっこう市場感覚を測るのに使えます。

前に「シニア向けフィットネスアプリ」みたいな話を聞いたとき、海外の人が使ってたのが Name my startup っていうSaaSで。

あれ、ただのネーミングツールっぽい顔してるんだけど、裏側でちゃんと市場やニッチも一緒に見てる感じなんですよね。

ざっくり流れはこんな感じ:

・「どんな人向けの、何のためのサービスか」をキーワードで入れる
・トーン(カチッと・カジュアル・遊び心あり)とか、業界っぽさを選ぶ
・出てきた候補を眺めながら、「この方向性でいいのか」を自分でも整理する

例えば「senior fitness app」って入れると、

・FitSilver
・ActiveAge
・SeniorSweat

みたいなのが出てきて、しかもドメイン空いてるかも一緒に見てくれる。

ネーミングそのものより、AIが「こういう切り口なら市場とフィットしそう」と暗に言ってる感じがちょっと面白いポイントで。

ドメインの話をちょっとだけ:

前にNamecheapの資料を見たとき、スタートアップの7割くらいは、名前決める前にドメインの空き状況をチェックしてるって書いてあって。

日本でも、独自ドメイン取れないと「とりあえずnoteとXだけでいいか」ってなりがちだけど、ちゃんと事業として育てるなら、早めにそこまでセットで見る癖つけとくとあとが楽です。

ニッチの「深さ」と「空き具合」をAIでざっくり掘る

名前でざっくり輪郭が見えたら、「どの辺をニッチとして狙うか」をもう少しだけ深掘りしたくなります。

ここでやたらと時間かけ始めると5分どころじゃなくなるので、AIツールに丸投げする部分を増やした方がいい。

よく名前が出てくるのは、このあたり:

ValidatorAI:アイデア入れると、市場ニーズや競合感をざっと返してくるやつ
GummySearch:RedditとかXの会話を漁って、リアルな悩みを拾ってくれる
・AnswerThePublic:人が検索で投げてる質問を一覧で見せてくれる
・さっきの Name my startup:実はニッチ調査も抱き合わせでやってくれるタイプ

「シニア向けホームワークアウトアプリ」みたいなアイデアなら、ValidatorAIで調べたときに、

・月間検索ボリュームがだいたい1,500件くらい(2024年時点のAhrefsのデータでそんな話を見た)
・競合はいるけど、まだガチガチには埋まってない

みたいな結果が返ってきた、という話を聞いたことがあります。

そこにGummySearchで「シニア エクササイズ」とかのリアルな声を足していくと、「膝に優しい」とか「動画のスピードが早すぎるときつい」みたいな、かなり具体的なニーズが見えてくる。

5分モードなら、このくらいで十分:

1. Name my startup みたいなツールにアイデアを入れる
2. そこで出てくるニッチや需要レポート(検索ボリューム・競合スコア)をざっと見る
3. GummySearch系で、「その人たちが実際に何に困ってるか」だけ1〜2トピック拾う
4. 「このニッチなら、まだ入る余地ありそうか」を感覚でメモする

ニッチを探すって、鉱山探検というより「地図を上から眺めて、まだ人が少なそうな街を見つける」に近い。AIは、その俯瞰図を一瞬で出してくる地図アプリみたいな感じ。

AIに「このアイデア、何点?」って聞いてしまう

次のレイヤーが、いわゆる「アイデアの妥当性チェック」です。

これは、もう完全にAIに甘えるフェーズ。

海外だと、ValidatorAI とか Dimeadozen.aiRebeccAI みたいなツールの名前をよく聞きます。

ざっくり何を見てくれるかというと:

・市場ニーズ:ちゃんと検索されてるか、人が話題にしてるか
・競合状況:どのくらい同じようなプレイヤーがいるか
・お金の匂い:サブスクなのか、単発課金なのか、伸びそうか

例えば「65歳以上向けの、低負荷なホームワークアウトアプリ」って書いて入れると、

・需要はそこそこ高い
・競合は中くらい
・高齢化のトレンドもあって、将来性は悪くない

みたいな評価で、「85/100」とか点数を出してきたりする。

そのスコア自体に絶対的な意味はないけど、「70切ってるのに突っ込むのはさすがにギャンブルかな…」みたいな、ブレーキとしては便利です。

リアル企業の例も一応:

海外だと、Stitch Fix がファッションのサブスクモデルをやるとき、AIでトレンドや好みを予測しながら組み立てていって、最終的に評価額が十億ドル超えまでいった、という話がありました。

もちろん、同じことをやれば成功するわけじゃないけど、「最初のアイデア段階からAIを噛ませてる会社はもう普通にいる」という事実だけ覚えておくと、ちょっと気持ちが変わります。

5分チェックに落とし込むと:

1. アイデアを1〜2行で説明して、AIツールに投げる
2. スコアとコメントをざっと読む(特に「リスク」「競合」のところ)
3. 「やるなら、どのニッチに寄せろ」と言われているかだけメモる

プロダクトマーケットフィットを「体感」で測るためのAIの使い方

PMF(プロダクトマーケットフィット)って、言葉はかっこいいけど、やってることは「ちゃんとハマってるかどうかの空気感チェック」に近いです。

数字も大事だけど、「このサービス、紹介されまくってるな」とか「解約しないどころか、友だち呼んでくるな」とか、そういう感覚の方が本質に近かったりする。

ただ、そこにたどり着く前の「仮のPMFテスト」くらいなら、AIでけっこうショートカットできます。

よく聞く組み合わせはこんな感じ:

・Lovable:とりあえず1枚もののランディングページをサクッと作る
・Sembly AI:ユーザーインタビューとかZoomの会話を文字起こしして、要点をまとめてくれる
・GummySearch:そのジャンルの人たちが他に何を求めてるか拾う

さっきの「シニア向けフィットネス」なら、

・Lovableで「膝に優しい・動画ゆっくり・家でできる」みたいな訴求のLPを1枚作る
・無料トライアルを用意して、1週間くらい反応を見る
・Sembly AIで、問い合わせとか電話・オンライン面談の内容をまとめる

そこで、1週間で500人くらいが登録して、しかも「動画のスピードがちょうどいい」「大きい文字で見やすい」みたいなコメントが多いなら、「あ、これは方向としてはそんなにズレてないな」という感覚を持てます。

PMFって、「完璧な庭」じゃなくて、コンクリの隙間からちゃんと芽が出てるかどうか、くらいの話から始まる。
PMFって、「完璧な庭」じゃなくて、コンクリの隙間からちゃんと芽が出てるかどうか、くらいの話から始まる。

AIを使って「どこをいじれば伸びるか」を探る

一回チェックして終わり、っていうより、アイデアってだいたい微調整していくものなので。

ここでもAIを「改善のヒント出し係」として使えます。

よくあるパターン:

・Sembly AIでユーザーの声をまとめて、「よく出てくる単語」を見てみる
・AnswerThePublicで、そのジャンルの「関連質問」を拾ってみる
・GummySearchで、「次にこの人たちが興味持ちそうな周辺ニッチ」を見る

シニア向けフィットネスで「ヨガ」というワードがやたら出てくるなら、「シニアヨガ」のメニューを足してみるとか。

実際、そういう追加機能で登録数が2割くらい増えた、という話も見かけました。

医療系だと、PathAIみたいに、AIを使って診断の精度やワークフローを検証しながら何度も改善して、結果としてかなり大きい評価額まで育った会社もあります。

「最初から完璧なアイデア」を狙うより、「AIを使って修正し続ける前提で出す」方が、今の時代っぽいです。

ここまでの流れを、ちょっとだけ整理して表にすると:

AIでやる5分バリデーションざっくり比較

やること 使えるツール 5分で見るポイント
名前と方向性をざっと決める Name my startup, Namelix 出てくる候補が「誰向けの何か」をちゃんと示してるか
ニッチの深さをチェック ValidatorAI, AnswerThePublic 検索されてるか・質問がちゃんと飛んでるか
アイデアの点数をつけてもらう Dimeadozen.ai, RebeccAI 70点超えてるか、どこを直せと言われてるか
PMFの手前まで試す Lovable, Sembly AI LPからの登録率と、フィードバックの温度感
伸ばすポイントを探す GummySearch, AnswerThePublic 「次に追加すると刺さりそうなニッチ」が見えるか

日本・台湾ローカルで使うときにちょっとだけ気をつけたいところ

ここまでの話、だいたい海外ツール前提になりがちなんですけど、実際に台湾とか日本向けのサービスを考えるときは、ちょっとだけ補正した方がよくて。

例えば:

・Redditの代わりに、台湾ならPTTやDcard、日本ならYahoo!知恵袋とかも一緒に見る
・検索のクセが違うので、キーワードをローカルの言い回しに変えて再チェックする
・健保(台湾の国民健康保険)とか、日本の厚生労働省みたいな、公的な枠組みが絡む領域は、AIの提案だけで決めない

AIツールの多くは英語圏のデータに強めなので、「日本語・繁体中文で検索したときの感覚」を自分の手で確認するひと手間は、まだ必要かなと思います。

AIの答えだけじゃなくて、PTTとかDcardの空気も一緒に見ておくと、急にリアルになる。
AIの答えだけじゃなくて、PTTとかDcardの空気も一緒に見ておくと、急にリアルになる。

正直なところ、自分ならこうやって5分だけかける

たぶん、自分ならこんな順番にします:

1. Name my startup でアイデアを1〜2行で入れて、出てきた名前とニッチの雰囲気を見る
2. 同じキーワードでValidatorAIか似たツールに投げて、需要と競合のざっくり感を確認
3. GummySearch系で、そのテーマの人たちが具体的に何を愚痴ってるか1〜2個読む
4. 「これは完全にズレてる」「これはワンチャンあり」と2つくらいにラベルを分ける

ここまでで、たぶん本当に5分くらい。

そのあとLP作るとか、ユーザーインタビューするとかは、また別枠のちゃんとした時間の話で。

大事なのは、「ゼロのアイデアに半年かける」のを避けることだけです。

全部やろうとすると死ぬので、「今はこの2つだけ」でいい。
全部やろうとすると死ぬので、「今はこの2つだけ」でいい。

最後に、今日やるなら何をやるか

長々書いたけど、「じゃあ今から何すればいいの?」って話だけ、すごく小さくまとめると、

・今頭にあるアイデアを1つだけ選ぶ
・それを英語でも日本語でもいいから1〜2行にしてAIツールに投げてみる
・スコアとコメントを見て、「これは本気でやるリスト」か「一旦寝かせるリスト」かを決める

この3つだけで、とりあえず「完全に闇雲」な状態からは抜けられます。

本気で検証するフェーズは、そのあとゆっくりやればいいので。

まず今日は、5分だけAIに付き合ってもらって、「今抱えてるアイデアの山」をちょっとだけ整理してみるのはどうでしょう。

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