トランプ関税政策が米国経済に与える影響とは?製造業回帰の課題を解説

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最近、トランプの貿易政策についてよく考えるんだけど、面白いことに気づいたんだ。彼の言う「アメリカの産業を取り戻す」っていう目標、これ自体は、まあ、分からなくもない。正直、僕も製造業の仕事が海外に流出しちゃったのは、多くのアメリカの地域、特に中西部にとっては悲劇だったと思ってるから。鉄鋼とか、半導体みたいな基幹産業は、安全保障の観点からも国内に持っておくべきだ、っていうのも、うん、一理ある。

でもね、問題はそのやり方なんだ。僕は15年くらい、太陽光エネルギーの業界で、最初はジャーナリストとして、今はクリーンエネルギーのサプライチェーンを分析するアナリストとして、この手の問題をずっと見てきた。その経験から言うと、トランプがやろうとしてること、特に特定の国を狙い撃ちにする関税っていうのは、たぶん、うまくいかない。それどころか、インフレを悪化させて、製造業の雇用を減らして、最悪、経済全体を失速させる可能性すらある。

先說結論:關稅這招,其實沒聽起來那麼神

先に結論を言っちゃうと、トランプ政権が頼りにしてる「関税」という武器は、国内産業を復活させるっていう目的には、実はほとんど役に立たない。むしろ副作用の方が大きいんじゃないかな。じゃあどうすればいいのかっていうと、答えはもっと地味で、時間がかかるけど確実な「産業政策」と「インフラ投資」にある。これはもう、ここ数年のデータがはっきりと示してるんだ。

なんで効かないの?太陽光業界の「モグラ叩き」が教えてくれること

僕がずっと見てきた太陽光業界で、特定国への関税がどういう結果を招いたか、っていう話がすごく分かりやすい。アメリカは2012年、2014年、そして2023年にも、主に中国製の太陽光パネルやセルに対して高い関税をかけてきた。「国内の産業と雇用を守るためだ!」って言いながらね。

でもね、実際どうなったかっていうと、アメリカ国内の工場が劇的に増えたわけじゃなかった。あったとしても、テスラがソーラールーフ用に作った工場くらいで、それも本当にフル稼働してたのか、ちょっと怪しい。市場全体が大きくなるスピードに、国内の生産能力の伸びが全然追いついてなかったんだ。

じゃあ、中国のメーカーはどうしたか。まず、台湾から太陽電池セルを輸入するようになった。次に関税がかけられると、今度は工場ごと東南アジアに移転した。それでアメリカがまた東南アジアからの輸入品に関税をかけようとすると、今度は部材の生産拠点まで東南アジアに作っちゃう。つまり、こういうことなんだ。

特定国への関税は、生産拠点をアメリカに呼び戻すんじゃなくて、ただ単に、別の低コストな国へ追いやってるだけ。 まるでモグラ叩きゲームみたいにね。一つの穴を塞いだら、別の穴からモグラが出てくる。それの繰り返し。

これって、経済全体で見ても同じことが言える。トランプが2018年に始めた中国への大規模な関税(バイデン政権も維持してるやつ)で、確かに中国からの輸入品は減った。でも、アメリカの貿易赤字は全然減ってないんだ。じゃあ、その分はどこから来てるかって? メキシコ、ベトナム、インド… そう、中国の代わりに、他の国からの輸入が増えただけ。根本的な解決にはなってないんだよ。

関税を避けるため、次々と生産拠点を移すサプライチェーンのイメージ
関税を避けるため、次々と生産拠点を移すサプライチェーンのイメージ

じゃあ、どうすればいい?「関税」と「産業政策」を比べてみた

「じゃあ、一体どうすれば工場が戻ってくるんだ?」って話だよね。ここで、「関税」と、最近アメリカで効果を上げている「産業政策」を比較してみると、すごくはっきりする。

比較項目 関税(Tariffs) 産業政策(Industrial Policy)
基本的な考え方 輸入品を高くして、国内品を買わせる。「罰」を与える発想。 国内で生産すれば得になるようにする。「ご褒美」を与える発想。
具体的な手法 特定国からの輸入品に高い税金をかける。 国内での工場建設や生産に対する補助金、税額控除(例えばIRA法)。
サプライチェーンの反応 生産拠点が、関税のない別の低コスト国へ逃げるだけ(モグラ叩き)。 コスト差が埋まるので、企業が自発的に国内に拠点を建設し始める。
経済への影響(副作用) 輸入品の価格が上がり、インフレを招く。国内メーカーの部品コストも上がり、競争力が落ちる。 初期投資は巨額になる。でも、長期的な雇用と技術革新を生む可能性がある。
結果(太陽光業界の例) 10年以上やっても、国内生産はあまり増えなかった。 インフレ抑制法(IRA)の後、たった2年で米国のパネル生産能力は5倍以上になった。マジで。

「作る場所」を育てる、っていう当たり前の話

この表を見ても分かる通り、効果が証明されてるのは、産業政策の方なんだ。特に、アメリカの「インフラ投資雇用法(IIJA)」、「CHIPS法」、そして「インフレ抑制法(IRA)」の三点セット。これがすごかった。

データを見ると、アメリカ国内での新しい工場への投資額は、2021年の秋、つまりインフラ法が成立したあたりから急上昇を始めてる。そこから2年ちょっとで、それ以前の時期の3倍以上に跳ね上がったんだ。これは偶然じゃない。

太陽光業界では、IRA法による製造業への税額控除の効果がてきめんだった。アメリカは人件費も光熱費も高いから、普通に作ったら海外製品に価格で勝てない。でも、この税額控除がそのコスト差を埋めてくれるから、「じゃあアメリカで作ろう」ってなるわけ。その結果、何千人もの雇用が生まれてる。

あ、ちなみにこれ、日本でも似たような話があって、経済産業省が主導してTSMCの半導体工場を熊本に誘致したじゃない? あれも巨額の補助金を出してるよね。つまり、高度な技術を持つ工場を国内に置くためには、単に「海外製品はダメ!」って言うんじゃなくて、「ここで作ってください、その代わり支援します」っていうアプローチが、今の世界の常識なんだと思う。

産業政策による補助金を受け、活気を取り戻した米国内の工場建設現場
産業政策による補助金を受け、活気を取り戻した米国内の工場建設現場

関税がもたらす「思ったのと違う」副作用

逆に、関税だけに頼るとどうなるか。いいことはあまりない。まず、インフレだ。これは分かりやすいよね。輸入品の値段が上がるんだから。特に、トランプがまたかけようとしてる鉄鋼への関税。鉄の値段が上がると、ビルや住宅の建設コストが上がる。アメリカは今、住宅コストの高騰が大きな問題になってるけど、それをさらに悪化させることになる。

次に、国内製造業の競争力が、逆に落ちてしまうこと。例えば、アメリカの自動車メーカーが、関税のせいで高くなった鉄鋼を買わなきゃいけなくなったらどうなる? 当然、車の製造コストが上がって、海外で作られた車に対して価格競争で不利になる。国内市場でも、海外市場でも、だ。

もっと言えば、トランプのやり方はあまりにも予測不可能で、個人的な思いつきで関税をかけたり外したりする。これじゃあ、企業からしたらたまったもんじゃない。「アメリカはリスクが高すぎて投資できない」って思われちゃう。ビジネス環境としては最悪だ。

高いインフレ、高い金利、高い製造コスト、そして不安定なビジネス環境… このコンボは、経済全体を不況に突き落とすには十分すぎる。工場を呼び戻すどころの話じゃなくなってしまう。

関税によるコスト増の請求書を見て頭を抱える中小企業の経営者
関税によるコスト増の請求書を見て頭を抱える中小企業の経営者

もちろん、まだ軌道修正する時間はある。でも、トランプ政権がそれをやるとは、正直、思えないんだよな。彼が指名した通商代表は、関税アプローチに絶大な自信を持っているみたいだし、トランプ自身も移民問題とか、もっと別のことに関心があるように見える。

結局、このまま行くと、アメリカの産業は復活しないまま、経済だけが悪化していく…なんていう、最悪のシナリオに向かってる気がしてならない。今建設中の工場を除いて、新しい工場が増えることもなくね。本当に、それで「アメリカは偉大になる」んだろうか。


この記事を読んで、あなたはどう思いましたか? もしあなたが国のリーダーだったら、短期的な効果が見えやすい「関税」と、長期的な投資が必要な「産業政策」、どちらを選びますか? 理由と一緒に、下のコメントであなたの考えを聞かせてくれると嬉しいです。

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Comments

  1. Guest 2025-10-20 Reply
    前にアメリカの現地企業と組んで仕事したことがある。あの時、トランプ政権の関税で、もう…いきなり色々めちゃくちゃになった。原材料の仕入れ値が突然上がって、「このままじゃ全然儲からなくない?」って言う人ばっかり。あと、仕入れ先を変えるだけでも手続きだらけになって、なんか現場がゴチャゴチャ。 でもその一方で、政府がインフラに投資する話とか、新しい産業政策出してくると、なんかちょっとだけ前向きになる雰囲気も出てくる。不思議だよね。このへん、日本企業も似た経験したことあるんだろうか、とか思った。インフレとか競争力…他の人はどう感じてる?
  2. Guest 2025-06-14 Reply
    貿易政策の分析、興味深いですね。製造業の現場から見ると、コスト構造の変化がマジで気になってて。もし可能なら、詳細なデータとか共有してもらえると助かります。
  3. Guest 2025-06-13 Reply
    貿易戦略って本当に複雑だよね。関税の影響って、想像以上に経済全体に響くから、簡単に判断できないんだよね。製造業の現場からすると、コスト上昇は死活問題だし…。
  4. Guest 2025-04-01 Reply
    えー、主婦目線で言わせてもらうと、トランプさんの関税政策って本当に逆効果じゃない?スーパーで輸入食材が高くなって家計が苦しいわ。製造コスト上がって商品も値上げだし、これじゃ「アメリカ偉大」どころか庶民が泣いちゃうよ~。産業政策とか言う前に、まず普通の生活を守ってほしいんだけどなぁ。